僕がラップミュージックに出会ったのは小学校6年生の時だ。
当時よく行っていた地元のレンタルCDショップで、何を間違えたのか洋楽セクションに迷い込んでしまい、そこで何も分からずたまたま手に取ったCD(The Rootsの“Things Fall Apart”)を借りて家で聞いた時の衝撃は今でも覚えている。
このシリーズでは、約20年間ラップミュージックを聞き続けた僕が自分の大好きな曲の中から、「これは面白い!」と思ったフレーズや、英語の勉強になると思った歌詞を厳選してお届けし、一人でも多くの人にラップミュージックの魅力を知ってもらうと共に、音楽を聞きながら英語を勉強する楽しさを感じてもらえたらと思う。
それじゃ、早速今日のエントリーを見ていこう―――。
今日の名曲パンチライン
“I’m guaranteed to rock I make the ladies scream and shout. I’m bound to wreck your body and say turn the party out”
-Biz Markie, “Nobody Beats the Biz” (1988)
パンチライン徹底解説
- “be bound to~”という表現
- いくつもの意味にとれるユニークなフレーズ
今日のパンチラインは、ニューヨーク出身のヒップホップ界の大ベテランBiz Markie(ビズ・マーキー)のデビューアルバム“Goin’ Off” (1988)に収録されている“Nobody Beats the Biz”という曲の1フレーズからです。
またかなりオールドスクールに遡りましたが、今回のパンチラインもユニークでキレのあるラップが持ち味のBiz Markieの魅力がぎっしり詰まっていてとても興味深いので徹底的に解説していきたいと思います。
今回のパンチラインは少し長いので、
- “I’m guaranteed to rock”
- “I make the ladies scream and shout”
- “I’m bound to wreck your body”
- “and say turn the party out”
の4つのパートに分けて見ていきたいと思います。
それでは早速いってみましょう。
“I’m guaranteed to rock”
まず最初の部分ですが、“I’m guaranteed to~”で「確実に~する」という意味になります。“guarantee”という単語は動詞で「保証する」という意味ですね。
そして“rock”は「岩」が真っ先に出てくると思いますが、「(音楽やダンスなどで)熱狂させる」という意味もあります。
実はこの直前のラインで“I go for what I know doing a show for human beings”(おれはみんなのためにショーをやるぜ)と言っているので、ここでは上記の意味だとわかるんです。
なのでこの部分は「おれは確実に熱狂させる」という感じになります。
“I make the ladies scream and shout”
次のラインは、「私は女性たちを絶叫させ悲鳴を上げさせる」なので、ここでは「おれは女性のファンをキャーキャー言わせる」くらいの感じでいいでしょう。ここからも上の“rock”が「音楽で熱狂させる」という意味で使われていることがわかります。
ちなみに“make+人(物)+動詞の原形”はこのラップ英語シリーズでもたびたび登場するフレーズなので大丈夫ですね?一応、「人(物)を~させる」という意味になります。日常会話でも超頻出表現なので必ず覚えておきましょう。
“I’m bound to wreck your body”
次の“I’m bound to”についてですが、これは熟語表現となり、“be bound to~”の形で「必ず/当然~する」というような意味になります。
<“be bound to~”という表現>
- 「必ず/当然~する」という意味。“bound”は「バウンド」なので、ボールは地面に当たると「必ず/当然バウンドする」というイメージで考えると覚えやすい
そしてその次が“wreck your body”「あなたの体を打ちのめす」という感じです。
この“wreck”は「(物理的な力や言葉で)破壊する」という意味ですが、ここでは「Bizのユニークでオリジナルなラップで打ちのめす」というニュアンスが込められています。
なので、この部分で「おれのラップでお前の体を打ちのめす」という感じになります。
“and say turn the party out”
そして最後のラインは、前の部分(おれのラップでお前の体を打ちのめす)を受けて“and say”「そして言う」で、“turn the party out”「パーティーをひっくり返す」という感じになるので、「パーティーをめちゃくちゃに盛り上げる」というニュアンスにしておきましょう。
まとめ
ということで、ここまでの全てのラインの意味がわかったので繋げてみると、
- 「おれは確実に熱狂させる」
- 「おれは女性のファンをキャーキャー言わせる」
- 「おれのラップでお前の体を打ちのめす」
- 「パーティーをめちゃくちゃに盛り上げる」
という風になるので、
“I’m guaranteed to rock I make the ladies scream and shout. I’m bound to wreck your body and say turn the party out”
「おれのショーは毎回確実に大盛況でオンナのファンもキャーキャー言ってる。おれのラップでみんなの体を打ちのめしてパーティーをめちゃくちゃに盛り上げてやるぜ」
という風に訳してみました。
かっこいい音楽で盛り上がっているパーティー会場でこんなセリフが飛び出してくるのを想像したらめちゃくちゃテンション上がってきませんか?笑
このBiz Markieの言葉選びのセンスというのは本当にズバ抜けていると思います。
もう一つの裏の意味
そして、このただでさえかっこいいパンチラインには、実はもう一つの裏の意味が隠されているんです。
ここにもBizのラップのユニークさとその技術の高さが詰まっているので、ここでは、
- “I’m guaranteed to rock I make the ladies scream and shout”
- “I’m bound to wreck your body and say turn the party out”
の2つに分けて簡単に解説していきたいと思います。
“I’m guaranteed to rock I make the ladies scream and shout”
まずは“rock”という単語について。
上では「(音楽やダンスなどで)熱狂させる」という意味で説明しましたが、実はスラングで「男性器」を指す言葉としても使われます。「岩」のようにカッチコチになったペ◯スと言えばイメージが浮かぶでしょうか。
そしてその意味でとった場合、その後の“I make the ladies scream and shout”は当然「おれのカッチコチになったペ◯スで女性をヒーヒー言わせる」というようなニュアンスになります。
“I’m bound to wreck your body and say turn the party out”
また後半のラインでは、“wreck”という言葉がスラングで「(性的快楽で)フラフラにする」という意味でとることができます。なので“wreck your body”で「お前(女性ファン)の体を激しいセックスでフラフラにする」という感じになります。
さらに、“turn out”という言葉には「性的経験が少ない/消極的な女性に快楽を覚えさせ、虜にさせる」という意味もあり、その意味でとると、ここのライン全体で、
“I’m guaranteed to rock I make the ladies scream and shout. I’m bound to wreck your body and say turn the party out”
「おれのカッチコチになったペ◯スで女性をヒーヒー言わせ、めちゃくちゃな快楽を味わわせてセックスフリークにしてやるぜ」
という風にもとれてしまうんです。
<いくつもの意味にとれるユニークなフレーズ>
- ここではそれぞれキーワードとなる言葉に複数の意味を持たせ、一見単純そうなフレーズに見せかけて「わかる人にはわかる」もう一つの隠された意味(“double entendre”という)でリスナーをニヤリとさせてしまう、という恐ろしくレベルの高い技術が使われています。
どうですか?このパンチラインやばすぎませんか?笑
曲はこちらで聞けるのでよかったらチェックしてみてください(該当部分は1:28辺りからです)
何度も言いますが、このパンチラインはBiz Markieのユーモアと技術がぎっしり詰まったヒップホップ史上でも数本の指に入るくらいの名パンチラインだと思います。
実際にこのフレーズは他のアーティストたちの曲でも引用されたりしていて、例えばA Tribe Called Questというグループの“The Chase, Part ll”という曲のサビの部分では、“I’m bound to wreck your body and say turn the party out”というフレーズが何度もループされています。
こちらもおしゃれなメロディーが心地よい名曲なので是非チェックしてみてください(該当部分は曲冒頭からです)
https://youtu.be/Q7wcYCvsvR4
ちなみに、このBiz Markieのデビューアルバム“Goin’ Off” (1988)は、初期のラップミュージック独特のシンプルなビートに乗ったBizのユニークなラップが存分に楽しめる良作です。個人的にはこのアルバムと、次作の“The Biz Never Sleeps” (1989)がおすすめなので、これを機にラップに興味を持った人や、僕のように「洋楽から日常で使える表現を学びたい!」と思った人は是非チェックしてみてくださいね。
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はい。ということで、今回の「ラップ名曲パンチラインに学ぶ英語特集」はいかがだったでしょうか?これからも素晴らしきラップミュージックの魅力をお届けすると共に、あなたの英語学習の助けになれれば光栄です。
前のエピソードや次のエピソードも気になる!という方はそれぞれこちらからどうぞ。
<前のエピソード>
ラップ名曲パンチラインの意味に学ぶ英語vol.11「Bishop Lamont編」
<次のエピソード>
ラップ名曲パンチラインの意味に学ぶ英語vol.13「The Notorious B.I.G.編」
また、第1回から見てみたい!という方がいましたらこちらからチェックしてみてください。
それではまた!