僕がラップミュージックに出会ったのは小学校6年生の時だ。
当時よく行っていた地元のレンタルCDショップで、何を間違えたのか洋楽セクションに迷い込んでしまい、そこで何も分からずたまたま手に取ったCD(The Rootsの“Things Fall Apart”)を借りて家で聞いた時の衝撃は今でも覚えている。
このシリーズでは、約20年間ラップミュージックを聞き続けた僕が自分の大好きな曲の中から、「これは面白い!」と思ったフレーズや、英語の勉強になると思った歌詞を厳選してお届けし、一人でも多くの人にラップミュージックの魅力を知ってもらうと共に、音楽を聞きながら英語を勉強する楽しさを感じてもらえたらと思う。
それじゃ、早速今日のエントリーを見ていこう―――。
今日の名曲パンチライン
“You got a Bentley, but can’t keep gas in it. A Gucci wallet, but ain’t got cash in it”
-Bishop Lamont, “Grow Up” (2012)
パンチライン徹底解説
- “ain’t got~”というフレーズ
今日のパンチラインはウェストコーストのラップシーンからです。
Bishop Lamontというカリフォルニア出身のラッパーの“Layover” (2012)というミックステープアルバムに収録されている“Grow Up”という曲からのフレーズで、今回もこのパンチラインを、
- “You got a Bentley, but can’t keep gas in it”
- “A Gucci wallet, but ain’t got cash in it”
の2つのパートに分けてそれぞれ解説していきたいと思います。
それでは見ていきましょう。
“You got a Bentley, but can’t keep gas in it”
“You got a Bentley”の“Bentley”は「ベントレー」で、車好きにとっては憧れのイギリスの超高級車メーカー(とその車)のことですね。1台2000~3000万円くらいは余裕でする最高級の車ですが、“You got a Bentley”で「お前はベントレーを持っている」となります。
しかし(“but”)、“can’t keep gas in it”なので「それにガス(ガソリン)を入れておけない」という意味になります。
“A Gucci wallet, but ain’t got cash in it”
そしてもう一つのラインの“A Gucci wallet”は「グッチの財布」のことですね。
しかし(“but”)、ここでも“ain’t got cash in it”で「その中に金が入っていない」となっています。
この“ain’t”はたびたび出てくる表現で、“am not, aren’t, isn’t”や“haven’t, hasn’t”などの代わりに使えるスラングです。
ここでは実は”ain’t”の前に“you”が省略されていて、本来であれば“you haven’t got”となるフレーズを“ain’t got”と簡易的に表現しています。
<“ain’t got~”というフレーズ>
- この“ain’t got~”はストリートの会話では非常によく耳にする表現で、主語には”I”や”you, he, she, they, ◯◯(人の名前など)”が入り、「”主語”は持っていない」という意味になります。
どちらのラインもとてもシンプルで簡単でしたね。
まとめ
ということでこれらのラインを繋げてみると、
- 「ベントレーを持っているがガソリンを入れておけない」
- 「グッチの財布の中には金が入っていない」
となるので、
“You got a Bentley, but can’t keep gas in it. A Gucci wallet, but ain’t got cash in it”
「お前ベントレー買ったはいいがガソリン入れる金もねぇじゃねえか。グッチの財布持ってたって金が入ってねぇじゃねえか」
という風に訳してみました。
Bishop Lamontはこのパンチラインで、自分のことを金持ちに見せようとしていたり、影響力のある人間を演じている全ての「勘違い野郎」に対して、曲のタイトルの通り“Grow Up”「いい加減成長しようぜ」と言っていたんですね。
ちなみに、このパンチラインの後も同じような例が挙げられていて面白いので少し紹介すると、
“Go out to eat, it’s your treat, then at the last minute, say you forgot it, never had it, want them to spend it”
「おごるからと外食しに行ったのに最後の最後で財布忘れたとか言って、最初から相手に払わせようとしてたくせに」
“Now that’s an interestin’ thang. Cause in your video, you havin’ so much blang. A few days ago, I heard you pawned that chain. Instead of coppin’ that, you shoulda copped the food chain”
「おやおや、お前ミュージックビデオではあんなにパチモンのチェーンをギラつかせてたくせに、数日前に質屋で売ったって聞いたぜ。ジュエリーのチェーンじゃなくてフードチェーンを買うべきだったな」
“Ain’t you got kids to raise? Instead of actin’ like them, n****, act your age”
「お前子供いるんじゃねえのか?自分がガキみたいに振る舞うんじゃなくて歳をわきまえろよ」
“And goddamn, n****s, pull up your pants. Got your drawers all out, what you wanna strip dance?”
「おいおいお前ら腰パン上げろよ。パンツ全部出てんじゃねえか、ストリッパーかよ」
“And homeboy, what you doin’ in a 5X? You ain’t that big, shit’s lookin’ like a dress”
「お前も5X(超特大サイズ)着て何してんだよ?デカすぎてドレスみたいじゃねぇかよ」
“You bought an iPhone but live in your momma home. Gotta wait ‘til she’s asleep before you can bone”
「iPhone買っても実家住まいでママが寝るまで外出もできないって・・・」
“You grown, you know you wrong. But either way, someday, homeboy, you know you gotta grow up”
「もういい歳なんだからダメってわかってんだろ。まあでも、いつか「成長しなきゃ」って気づくだろうよ」
という感じになっています笑
上ではかなり辛辣なことを言っていますが、実際には曲の始めの部分ではBishop Lamont自身が過去にやんちゃをしていたことをかっこいいと思っていたり、仲間が銃で撃たれて死ぬまで自分たちがやっていたことの危険性に気付いてなかったと過去を省みています。
曲はこちらで聞けるのでよかったらチェックしてみてください(該当部分は1:30辺りからです)
ちなみに、このBishop Lamontは非常にスキルのあるラッパーですが、所属するレーベルとのゴタゴタや不運にも見舞われ、ここまでコレといったヒット作をリリースできていません。
しかしその実力は誰もが認めていて、現在注目されているラッパーの一人でもあるので、これを機にラップに興味を持った人や、僕のように「洋楽から日常で使える表現を学びたい!」と思った人は是非チェックしてみてくださいね。
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はい。ということで、今回の「ラップ名曲パンチラインに学ぶ英語特集」はいかがだったでしょうか?これからも素晴らしきラップミュージックの魅力をお届けすると共に、あなたの英語学習の助けになれれば光栄です。
前のエピソードや次のエピソードも気になる!という方はそれぞれこちらからどうぞ。
<前のエピソード>
ラップ名曲パンチラインの意味に学ぶ英語vol.10「Redman編」
<次のエピソード>
ラップ名曲パンチラインの意味に学ぶ英語vol.12「Biz Markie編」
また、第1回から見てみたい!という方がいましたらこちらからチェックしてみてください。
それではまた!