こんにちは!通訳/ストリート英会話講師のbigtree(@bigtree1000)です。
2018年は「翻訳機元年」とも言われたほど、各社から次々に新しい音声型翻訳機が発売され、翻訳機自体の注目度が一気に上がった年となりましたね。
僕自身は現在英会話講師や通訳として活動しているため、英語のコミュニケーションには不自由を感じてはいませんが、それでも同業者(翻訳者)としてライバル(翻訳機)たちの動向は非常に気になっているため、普段から各翻訳機の情報には常にアンテナを張っています笑
以前こちらの記事、
【完全版】旅行に最適な音声型翻訳機「ili」を他機種と徹底比較
でili(イリー)という翻訳機とその他の人気機種についてのまとめを書きましたが、今回は実際に翻訳機の購入を検討しているあなたのために、その用途に適したおすすめの翻訳機を紹介したいと思います。
あなたにぴったりな翻訳機の選び方
翻訳機を購入する人の目的はさまざまだとは思いますが、まず始めに結論から言ってしまうとその用途が何であれ、最新の翻訳機2機種、
のどちらかであなたの目的は確実に満たされるでしょう。
現在巷にはたくさんの新興機種が溢れてきていますが、上記2機種の翻訳機としての完成度と実用性は本当に驚くほど高く、明らかに他の機種と一線を画しています。
特に2018年秋に従来のモデルから大幅にアップグレードされた「POCKETALK W」の進化は目覚ましく、今後確実に僕の仕事を脅かす存在になっていくと言っても過言ではないほどの新しいツールとしての可能性を示しています笑
ということで、今回は翻訳機市場において現在注目のこの2機種のみに絞って解説をしていきたいと思いますが、どちらも非常に完成度の高い翻訳機とは言えどその特長は大きく異なり、よく分からずに選んでしまうと「思っていた物と違った」ということにもなりかねません。
ここではいくつかの想定される翻訳機の使い方を考えたうえで2つの機種の特長と照らし合わせ、最終的に「あなたに最適な翻訳機はどちらか」というのを導き出したいと思います。
何のために翻訳機が必要?
まず、翻訳機の使用用途についてですが、主に次のような目的が挙げられるかと思います。
- 海外旅行での頼れるパートナーとして
- 海外出張の多いビジネスマンの通訳として
- 日本で仕事上外国人と接する人の秘密兵器として
- 自分の英語が通じるかどうか確かめるためのスタディーツールとして
- 親や友達などへのプレゼントとして
おそらく現在翻訳機の購入を検討している人のほとんどがこのどれかに当てはまるんじゃないかと思いますが、ここでは大きく分けて、
- 海外旅行
- 仕事(国内・海外)
- 勉強
- プレゼント
という括りで考えてみましょう。
どこで翻訳機を使う?
次に、実際に翻訳機をどこで使うのかということについても考えておく必要があります。
まずは大きく分けて、
- 日本国内で使うのか
- 海外で使うのか
がありますね。そしてもし海外で使うのなら、
- 英語圏なのか
- 中国、韓国の近隣国なのか
- いろんな国で使うのか
ということも考えておく必要があります。
どうやって翻訳機を使う?
また、翻訳機の使い方について、
- 自分の言いたいことを上手く伝えたいのか(一方向型)
- 相手と密なコミュニケーションを取りたいのか(双方向型)
という部分についても違いがあることは注意しておかなければなりません。
ここまでを簡単にまとめるとこのようになります。(詳細はこれから解説します)
これらの要素を一つひとつ考慮し、自分の目的を明確にすることであなたに最適な翻訳機を選択することができます。
おすすめの2機種の特長を徹底比較
それではここから冒頭で触れたPOCKETALK W(ポケトークW)とili(イリー)の2機種の特長について徹底的に比較していきましょう。
そしてその後上記の目的別でどちらが適しているかというのを見ていきたいと思います。
POCKETALK W(ポケトークW)
まずは2018年秋に大幅なアップグレードを実施し、従来の「POCKETALK」から「POCKETALK W」に生まれ変わった今最注目の一台についてです。
リニューアル後にはCMで超大物芸能人の明石家さんまさんを起用し、PR戦略に莫大な資金を投資していよいよ本気で音声型翻訳機市場を獲りにきた感が満載な商品ですが、大々的な広告を打ち出すだけあってそのスペックは本当に文句なしです。主な特長をまとめると、
対応言語 | 74か国語 |
オフライン対応 | 不可 |
翻訳方向 | 双方向 |
翻訳スピード | 平均0.6秒 |
連続使用時間 | 7時間(待ち受け240時間) |
本体価格 | 24,880円/29,880円(税抜き) |
重量 | 100g |
という感じですが、何といっても驚きはその対応言語の多さと翻訳精度の高さで、ポケトークWは翻訳する言語によってオンライン上で翻訳エンジン(翻訳機の頭脳のようなもの)を切り替えるクラウドエンジンシステムを採用しているため、一台でこれだけ多くの言語を正確に翻訳することができてしまうんです。
これは人に例えるなら、自分の脳ミソを74か国語それぞれ一番堪能な人の脳ミソと瞬時に入れ替えられるようなもので、これによってこんなに小さい機械でも抜群の翻訳精度を誇っています。
実際に使ってみると、英語はもちろんのこと、試せた限りでは中国語や韓国語、フランス語、スペイン語、タイ語、ベトナム語など、長文でもネイティブが驚くほど正確に翻訳してくれるので、海外旅行だけに限らずビジネスでも十分に活用できる商品で、実際発売して間もないにもかかわらず、すでに以下のような会社や機関にて正式な翻訳ツールとして採用されているのも頷けます。
- 2018年7月27日:ベルギーのサッカーチーム「シント=トロイデンVV」(日本代表の冨安健洋選手や元浦和レッズの関根貴大選手が所属)のコミュニケーションツールとして採用
- 2018年9月14日:J1サッカークラブ「ベガルタ仙台」のコミュニケーションツールとして採用
- 2018年9月21日:日本交通株式会社のハイヤーで接客ツールとして採用
- 2018年9月25日:第31回東京国際映画祭のオフィシャル通訳機として採用
- 2018年9月27日:米国b8taニューヨーク店(超おしゃれなセレクトショップ)での接客ツールとして採用
- 2018年10月4日:「SHIBUYA TSUTAYA」の接客ツールとして採用
- 2018年10月5日:化粧品・健康食品メーカー「ファンケル」で接客ツールとして採用
- 2018年10月11日:第13回札幌国際短編映画祭の通訳機として採用
(公式サイトより)
また、従来モデルからはるかに大きくなった2.4インチのタッチスクリーンでの操作性も格段に向上し、翻訳した際に両方の言語が文字で表示されるので、より細かい内容まで確認できるほか、例えば「これ英語で何て言うんだろう?」という時に日本語で話しかければ英語で表示してくれるので、「こう表現すればいいのか」というように学習用にも使えてしまう優れものです。
さらに自分のスマホやパソコン上で「ポケトークセンター」というサービス(無料)にアクセスすれば、ポケトークWからBluetoothを経由して大きな画面上に翻訳内容をリアルタイムで表示させることも可能で、スピーカーやイヤホンともリンクさせれば自分が喋った内容を大画面で確認しつつ耳でも聞けるという近代的で超画期的な勉強方法が可能となります。
はっきり言ってこれは革命的です。
さらにさらに、従来モデルでは翻訳の履歴が20件まで保存できるのが地味に便利でしたが、ポケトークWではその数がなんと1万件(!!)に増えていて、そのうえ上記の「ポケトークセンター」を利用すれば無制限に保存できるという神がかった機能までついており、本当に非の打ち所がないというか、これからの通訳のあり方を考えさせられてしまうような作りになっていて普通に焦ります笑
- 74か国語もの言語に対応していて、純正SIMを使って世界105か国で使用可能
- クラウド翻訳エンジンによる精度の高い翻訳で双方向のコミュニケーションが可能
- 長文や複雑な文の翻訳も問題なく、商談などビジネスシーンでも十分に活用可能
- 翻訳速度は平均0.6秒(公式発表)で、ストレスのない翻訳が可能(英語、中国語、韓国語、フランス語、スペイン語、タイ語、ベトナム語で体験済み)
- 2.4インチのタッチパネルは操作性抜群で翻訳の文字表示もできるので細かい確認にも最適
- 日本語で話しかけて好きな言語に翻訳することで、知りたい表現を確認できるので学習用ツールとしても活用可能(正しく翻訳されるか発音のチェックもできる)
- Bluetoothでスマホ、パソコン、スピーカー、イヤホンなどとリンクさせることで革命的な学習方法を実現可能
- 履歴が1万件残せる(ポケトークセンター利用で無制限)ほか、フレーズ登録機能でよく使うフレーズを保存可能
- ホワイト、ブラック、ゴールドのスタイリッシュなラインナップ
従来モデルでは操作性にやや難がありましたが新モデルでは解消され、またその他にもこのようなたくさんの素晴らしい機能がついているので、どんな用途向けでも自信を持っておすすめできる一台です。
あえて注文をつけるとすれば、
- オンライン型の翻訳機なので、グローバルSIMを搭載しているとは言えど電波環境の悪いところでは上手く作動しない
- 重量がイリ-の倍以上(それでも100g)
- イリ-に比べて価格が高い
というようなことが挙げられますが、その性能を見ても十分に値段以上の価値があるのは間違いありません。
ちなみに価格は、
- グローバル通信可能なSIMが入ったものが29,880円~
- グローバルSIMなしが24,880円~
となります。
仕事や勉強で日本国内でのみ使用するという場合はグローバルSIMなしでも良いかもしれませんが、将来海外旅行などで使う可能性を考えたら個人的にはグローバルSIM入りのタイプを選んだ方が安心かなと思います。
本当に、今後のコミュニケーションのあり方を変えてしまうようなものすごい代物が出てきてしまったな、という感じです。
ili(イリー)
続いてはili(イリー)について解説していきたいと思います。
すでにポケトークWについて上でこれだけ絶賛してしまったので、もはやイリーがかすんで見えてしまうかもしれませんが、ちゃんとイリーにはイリーの優れているポイントがあり、ポケトークWを始めとするその他の機種と差別化しているからこそ売れている商品であり、実際に実用性もピカイチです。主な特長は、
対応言語 | 英語、中国語、韓国語 |
オフライン対応 | 可 |
翻訳方向 | 一方向(日本語から多言語) |
翻訳スピード | 最速0.2秒 |
連続使用時間 | 3時間(待ち受け72時間) |
本体価格 | 19,800円(税抜き) |
重量 | 42g |
という感じですが、特筆すべきはやはり「オフライン型翻訳機」である故に超高速翻訳が可能である点でしょう。
イリーは独自の翻訳エンジンを内部に搭載しているためネット環境に繋ぐ必要がなく、どんな場所でも好きな時にボタン1つでサッと使うことができます。(イリーの機能の詳細についてはこちらをご覧ください)
【完全版】旅行に最適な音声型翻訳機「ili」を他機種と徹底比較
スタンバイモードからの起動時間は本当に一瞬で、またこちらが発した言葉を最速0.2秒で翻訳してくれ、これは本当に「感動」の一言です。(0.2秒はあくまでも「最速」なので大抵はもう少しかかりますが、それでもめちゃくちゃ早いです)
実際に対話で使ってみると、ボタンを押してイリーに話しかけ、ボタンを離すとほぼ同時に翻訳が始まるので、ガヤガヤしている場所では相手の耳にイリーを近づける前に音声が流れ出し聞き取ってもらえないことすらあるほどでした笑(その場合はもう一度ボタンを押せば何度でもリピートできるので心配要りません)
またイリーは「海外旅行」というシーンに特化して開発された翻訳機であり、それ以外の機能は全て削ぎ落とし極限までシンプルに作られているため、ボタンはたったの3つしかなく、本体の重量もたったの42gと驚異的な軽さを実現しています。
逆に、イリーはそのシンプルさが売りなため、翻訳はあくまでも日本語から「英語、中国語、韓国語」への一方通行の翻訳にしか対応していないということには注意が必要です。
それでも海外旅行においては買い物やレストラン、ホテルのチェックイン、交通機関の利用などで自分の要求を伝えられれば十分なことが多く、また相手の言うこともジェスチャーを交えればある程度理解できてしまうので、「一方向型」でもそこまで不便に思うことはありません。
僕個人的にはイリーのこの「完璧すぎないところ」がとても気に入っていて、こちらの言いたいことはスムーズに伝えつつも相手の言うことは頑張って聞きとらなきゃいけないので、「海外旅行の醍醐味であるローカルの人とのコミュニケーションは楽しみつつ、細かな部分でサポートしてもらい旅行の充実度を上げたい」、という人にはぴったりな一台だと思います。
実際にイリーを使った時の相手の反応は本当に面白く、そのままイリーに興味を持って話しかけてきた人と意気投合し食事に行く、といった海外旅行ならではの体験ができてしまうのも一方通行ならではだと思います。
ということで、イリーは英語圏、中国、韓国へ旅行に行く際のパートナーとしては最適で、あなたの旅行を確実にこれまで以上に充実したものにしてくれるでしょう。
- オフライン型翻訳機なので場所を選ばずボタン1つですぐに使える
- 独自の翻訳エンジンにより最短0.2秒の驚異的な速さで翻訳を実現
- 海外旅行のシーンに特化した翻訳機で、英語、中国語、韓国語の3つの言語に対応
- 一方向型なので相手の言うことは翻訳してくれないのは注意
- 極限までシンプルを追求したデザインでボタンは3つしかなく、重量はたったの42g
- スタイリッシュな見た目で首からかけていてもおしゃれ
- 海外旅行の醍醐味である現地人とのコミュニケーションを楽しみつつ、細かな要求を伝えて旅行の充実度を上げたい人には最適
- 可愛らしいロボットの声は外国人ウケすること間違いなしで、そこから会話が弾んだり、新しい出会いに繋がることも
現在巷に溢れている翻訳機の多くが「◯◯か国語対応!」や「語学学習にも使える!」などと売り出している中、「海外旅行」というシーンにのみ特化し、それ以外の全ての機能を排除したからこそ実現できた究極のわかりやすさと実用性は、間違いなくイリーをオンリーワンの存在にしている強みだと思います。
一方で、使用するうえでちょっと注意が必要なのは、
- 音量の調整ができないので静かな場所での使用は注意が必要
- 長文の翻訳や固有名詞、人名などに弱いので質問の仕方に少し気を遣う
ということでしょうか。翻訳の精度については今後のアップデートで徐々に改良されていくと思います。(イリーはUSBケーブルを使ってパソコンに繋げることで中のソフトをアップデートできます)
ですが、何度も言いますが「一方向型」、「英語、中国語、韓国語のみ」という部分を理解したうえで、海外旅行でのサポート役として胸ポケットに入れたり首から下げておき、いざという時にサッと使うという用途で十分という方にとってはイリーは最強の翻訳機だと思います。
またイリーのお値段は19,800円と、ポケトークに比べても手ごろな価格で、もちろんカスタマーサービスでの購入後のサポートや質問などにもきちんと対応してくれるので、そういった面でも安心しておすすめできる一台です。
まとめ:どちらの翻訳機を選ぶべきか
ということでポケトークWとイリーの2つの翻訳機の特長を見てきましたが、それらを踏まえてあなたに最適な翻訳機というのを序盤で見た図を使ってもう一度確認してみましょう。
このように見ると、やはりポケトークWは万能型で、イリーはピンポイントでの勝負に賭けているのが一目瞭然ですね。
それぞれの良さは上で見た通りで、あとはあなたの目的をよくよく吟味してどちらかの翻訳機を選べば、この2つの素晴らしい翻訳機はきっとあなたの生活を今よりはるかに充実したものにしてくれると思います。
ということで、今日は通訳の僕が自信を持っておすすめする翻訳機を紹介しました。購入の際の参考にしてもらえれば嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
それではまた!