bigtree先生のブログ、Youtubeを見て僕も通訳を目指そうと思いました。そこでbigtree先生が考える通訳になるために必要な能力(英語力+その他スキル)を教えてください!
ー28歳 ナンプラー
どうも。@bigtreeです。
(僕が誰にも知られず密かにペラペラになった独学勉強法はこちら↓チラッ)
まず初めに、僕のブログやYoutubeを見ていただきありがとうございます。さらには僕の配信するコンテンツを通じて通訳という職に興味を持っていただいたことは本当に感激です。
今日は通訳界の表と裏について、僕の知りうる限りの知識をシェアしていきたいと思いますのでよろしくお願いします。
通訳の仕事内容とは
僕は通訳という職に携わってからはまだ6年ちょっととまだまだ新米の部類ですが、それでもこれまでに契約社員やフリーランスとしてさまざまな体験をさせていただきました。
その中のほんの一例を挙げると、
- 日本や海外の工場での通訳
- エグゼクティブクラスの役員が出席する会議での同時通訳
- 海外アーティスト来日の際のアテンド
- 在日米軍の通訳
- 外国人離婚調停裁判での通訳
など、6年という短い期間にしては結構幅広いジャンルの現場をくぐってきたんじゃないかと思います。
その中で感じたのは、「通訳」と一口に言ってもその内容はめちゃくちゃ多岐にわたる、という事です。
一般的に通訳の種類は大きく分けて3つに分類されていて、それぞれ
- 同時通訳
- ウィスパリング
- 逐次通訳
と呼ばれています。僕はおかげさまでその全てを少しずつかじらせてもらったことがあるんですが、それぞれの職種はその難易度、労働環境、給料のどれをとっても本当に多種多様です。
ここでは上の3つのタイプの通訳について、僕の経験を基にした情報をシェアしていきます。
通訳になるためのスキル
同時通訳
同時通訳とはその名の通り、会議等で話し手の言っていることを「ほぼ」同時に翻訳して、それを機器(マイクとイヤホン等)を通して参加している聴き手の耳に届けます。
聴き手からしたら通訳がいなければ相手が何を言っているのかさっぱりわからないので、「通訳の言っていること=話し手の言っていること」だと理解されます。
そのため、その気になれば会議の内容を操ることも可能ですね。
実際は会議の規模が大きければ大きいほど通訳にかかってくる責任は重大で、「ミスしたらやばい」というプレッシャーが重くのしかかるので相当神経を使います。
よほど英語力が飛び抜けていない限りいきなり同時通訳の仕事に着くのは難しく、たいていはこれから紹介する逐次通訳等の仕事を数年経験してからステップアップするという流れが一般的だと思います。
必要とされる英語力は同時通訳が一番高いのは間違いないでしょう。
聞いたことを瞬時に翻訳して適切な言葉で伝えることはかなりハイレベルなスキルです。また専門用語が飛び交うこともしょっちゅうなので、事前にその分野についての予習も必要になってきます。
この職をこなしている通訳は英検1級、TOEICなら満点近く取っている人がほとんどの印象です。
ウィスパリング
同時通訳の次にレベルが高いと感じるのはウィスパリングというタイプの通訳です。
ウィスパリングとはその名の通り、聴き手の後ろに立って話し手の言っていることを耳元で同時に囁くように通訳することです。
海外アーティストなんかが日本のテレビに出演した際にすぐ後ろにくっついてなんか喋ってる人を見たことがあると思いますが、あれです。
ちなみに僕はテレビに出たことはありませんが、海外アーティストがイベントに参加した際にこのウィスパリングを経験したことがあります。
テレビに出る際は基本通訳は目立たないように地味な服装(黒系とか)を身につけるのが普通なんですが、たまにウィスパリング界の大物とかが空気を読まずに派手な格好で出ていって無駄に存在感を出してたりするとウィスパリング界全体がざわつきます。
ウィスパリングも同時通訳と同様に瞬時に翻訳&的確に伝えるスキルが必要とされるので難易度は高いですが、対応する相手が基本1人であるのと、アーティスト来日とかの場合はそのアーティストの情報以外の専門的な知識や用語は必要ないので、その辺は同時通訳よりは少し楽なのかなと思います。
具体的な英語力としては、英検1級を持っていればある程度経験を積めば務まるのかなと思いますが、そうでなくてもきちんと受け答えができれば十分こなせそうな印象です。
このタイプに関しては人づてに仕事をゲットする場合も多く、英語力に加えて人脈作りも大切になってきます。
逐次通訳
最後は逐次通訳ですが、これがみなさんが想像する一番一般的な通訳の仕事なのかなと思います。
逐次通訳は話し手の言っていることをある程度まとめて聞いてから、バトンタッチして聴き手にその部分を翻訳します。
同時通訳、ウィスパリングは話し手の言葉を「ほぼ」同時にどんどん訳していきますが、逐次通訳は一回ごとにターンが分かれるのが大きな違いです。
一般的な企業での海外取引先とのビジネスミーティングや、サッカーの外国人監督の試合後インタビューを訳したりするのもこの逐次通訳の仕事ですね。
同時通訳、ウィスパリングと違ってある程度まとまって話を聞いてから訳す分、自分の中で内容を整理できるので、難易度としてはだいぶ下がります。が、場合によっては専門知識が必要になることも多いので、その場合はやっぱり予習が欠かせません。
英語力はもちろん仕事内容にもよりますが、肌感覚だと現場によっては英検2級(TOEIC 700点)くらいでも戦えるんじゃないかなと思います。英検2級は一応「高校卒業レベル」なのでそうなるとかなりの人が該当しそうですね。
もし英検準1級(TOEIC 800点くらい?)以上を持っているならばわりと余裕を持って仕事ができるのかなと思います。
なのでまとめると、要求される英語力(あくまでも目安)としては「同時通訳→ウィスパリング→逐次通訳」の順で高→低になりますね。
⚫︎同時通訳 (英検1級/TOEIC満点)
⚫︎ウィスパリング (英検準1〜1級/TOEIC800〜満点)
⚫︎逐次通訳 (英検2〜準1級/TOEIC700〜800点)
通訳の仕事量と給料
続いて通訳の仕事量と「ぶっちゃけどれくらい稼げるの?」という誰もが知りたい部分についても見ていきましょう。
初めに言ってしまうと、通訳という職業は仕事量も給料もその仕事次第です。
仕事量
同時通訳の場合には会議の議題についての知識が必ず必要になってくるのでその事前準備が大変+会議自体も常に集中力MAXで本当に疲れるので、仕事の難易度、ボリューム共に正直かなりキツい仕事ではあると思います。
ウィスパリングももちろん相当なスキルが要る+プレッシャーがかかってくるのでハードなのと、たまにアーティストの付き人的な感じで通訳以外の雑用をさせられる事もあるので、仕事量的には多いかもしれません。
ただ中には特定のアーティストへのアテンド(そのアーティストが来日した際に通訳としてお供する)というポジションもあり、これは一旦アーティストとの信頼関係ができてしまえばわりとリラックスした状態で仕事ができるのであまり負担には感じないかもしれません。
ただそもそもそういったポジションは大体人脈を通じて人づてに決まってしまうので、相当広いネットワークを張り巡らせて人脈作りをしないとゲットするのは厳しいです。
そして通訳として一番敷居の低いのがやっぱり逐次通訳です。
逐次通訳は求人の数も一番多く、わりと簡単にできるものからかなりヘビーな現場まで本当にいろんな仕事が存在します。
アルバイトでの訪日観光客のガイドや外国人の多く参加するイベントでのちょっとした「通訳のお手伝い」みたいな仕事は、事前準備もあまり要らず自分自身も楽しみながらできるので、通訳のキャリアを本気で考えている人がまず体験するには最適かもしれません。
もちろん逐次通訳でも国内の一流企業で契約社員としてバリバリ働く現場なども多くあり、その場合はやはり英語力以外のその分野の専門知識も必要になってくるので、その勉強も欠かせません。
が、その場合でもある程度の知識をつけてしまえばあとは「必要な時に呼ばれて訳す」的なサイクルになることも多く、必要な時以外は比較的何をやっていても問題ないので「勤務中に内職をする」ことも可能でかなり「おいしい」仕事と言えますね。
給料
給料に関しては、短期のアルバイトだと「時給〜1000円」や「日給5000〜10000円」などもざらにありますし、長期のプロジェクトになってくると契約社員として一般的なサラリーマンと同じくらいの月給をもらえる仕事もたくさんあります。
なので本当にその仕事次第なんですよね。
かなりレアにはなりますが、海外での通訳案件の場合は驚くような好条件の現場もあったりします。
実際に僕は以前日系企業の海外にある工場での逐次通訳の仕事で、契約社員として月給3桁万円をもらっていた事もあります。
しかも仕事内容は上で言ったような「必要な時に呼ばれる」タイプで、実際にはあまり呼ばれず(笑)、「座っている(居眠りしている)だけで給料が発生している」という確変状態の現場でした笑
通訳のやりがい
最後に、通訳という仕事の魅力とやりがいについても少し触れておきたいと思います。
僕が感じる通訳のやりがいは、月並みかもしれないけどやっぱり「人との繋がり」だと思います。
元々サラリーマンとして同じ会社で毎日同じ人と顔を合わせて仕事をしていた僕からすると、案件ごとに新しい人と出会うフレッシュさと、そこから人間関係の輪が世界に広がっていくダイナミックさはとても魅力的に思えました。
様々なタイプの仕事があるおかげでいろんな畑出身の変わり者と出会う機会も多く、とても刺激に溢れている職種だと思います。
例えば海外アーティストの通訳なんかはその典型で、業界を問わずその分野のトップタレントたちと間近で接することができるのはこの職業の特権ですね。
またそうして仕事を通じて出会った人たちと良好な関係を築き、自分次第でプライベートでも人間関係を世界中へ広げていける可能性があることも、常に新しい刺激を求めているような好奇心旺盛な人にとってはたまらないのかなと思います。
まとめ
ということで今回は「通訳」という仕事の中身と必要なスキルについて、僕自身の経験と感想を織り交ぜてお伝えしてきました。
最後にちょっとアドバイスとして言っておくと、これまで通訳の仕事に興味はあったものの、募集要項で必要とされるスキルが高いので初めから諦めていた人もいるかもしれませんが、実際にはそこまでの英語力が必要ないことも多いです。
やってみたいという強い気持ちがあるのなら、求人の条件を見て「自分にはとうてい無理」と思い込まず、「応募条件には満たないかもしれないけど、自分なら◯◯ができる」と自らをどんどん売り込んだ方が良いと思います。
実際に僕も海外での通訳案件では一度審査で落とされたけれどどうしても諦められず、採用担当の人に何度か連絡をして必死に食い下がってアピールをすることで合格にたどり着くことができました。
通訳という仕事は結局は「人と人とを繋ぐ仕事」なので、最後は英語力よりも何よりも「人間性」が決め手になってくるのかなと思います。
なのでこれから通訳を目指そうと思っているあなた、日々の英語の勉強と同時に人間性にも磨きをかけていきましょう!