ラッパーがインタビューでしきりに「スイマセーン」って言ってるように聞こえるんですがあれは何て言ってるんですか?確実に謝ってはいないと思うんですけど。
ー29歳 社蓄ラッパー
こんにちは!通訳/ストリート英会話講師のbigtree(@bigtree1000)です。
(15年の努力の結晶。「誰にも知られず密かにペラペラになれる独学勉強法」はこちら)
あなたは“fillers”という言葉を聞いたことがありますか?
“fillers”は直訳すると「(隙間などを)埋めるもの」という意味になるんですが、こと英語においては「言葉と言葉を繋ぐための単語やフレーズ」のことを言います。
こう言うと少し難しく聞こえますが、実はなんてことないあなたもよく聞いたことがある言葉たちで、例えば、
<例>
- “you know”「ほら、あの・・・」
- “I mean”「つまり・・・」
- “well”「えっと・・・」
- “like”「みたいな・・・」
- “kind of”「みたいな・・・」
- “something like that”「そんな感じの」
などがそれにあたります。
これらのフレーズは日本語では「つなぎ言葉」と呼ばれていて、前後のフレーズをチェーンのように繋ぐ役割をしているんですね。
このつなぎ言葉は上で挙げた例を代表として、他にも本当にいろんな種類があるんですが、中には黒人を中心としたヒップホップのカルチャーの中で多用されている「スラングのつなぎ言葉」というのもあります。
ということで今日は、ストリートで使われているスラング英語のつなぎ言葉(”fillers”)の代表的なフレーズ5つ(プラスα)をラッパーの言葉と共に紹介したいと思います。
それでは早速見ていきましょう。
英語のつなぎ言葉の使いどころ
とその前にここで英語のつなぎ言葉の使い方を簡単におさらいしておきましょう。
英語のつなぎ言葉には大きく分けて3つの使い方があって、
- 次の言葉を探す間の時間稼ぎ
- なんとなく相手に同意を求める
- 発言を強調する
のようなシチュエーションで使われ、それぞれの境界線は曖昧ですが、その最大の特徴は「別になくても意味は変わらない」ことにあります。(もともと“filler”「穴を埋めるもの」ですからね)
例えば英語のつなぎ言葉の代表格“you know”を例にとって見てみると、
<例>
“Rappers are humans, you know…just like us”
(ラッパーだってその・・うちらみたいな人間なんだよ)
のように「時間稼ぎ」として使ったり、
<例>
“Sometimes it’s those rappers who really inspire you and make you believe that you can achieve what you want, you know?”
(ラッパーの言葉があなたにインスピレーションを与え、夢を叶えられると信じさせてくれることもあるんだよ)
のようになんとなく「同意」を求めたり(この場合相手は特に「そうだね」とあいづちを打たなくても会話の内容に影響はありません)
<例>
“It’s your choice whether you take their words seriously or not, you know“
(彼らの言葉を本気で信じるかどうかは自分次第だよ)
のように「強調表現」として使ったりと、同じ形で文脈によってそのニュアンスが微妙に変わってきますが、どれも別になくても意味は変わりません。
そしてそれは今から紹介する「スラング英語のつなぎ言葉」においても同じことなので、聞きなれない表現が出てきたとしても焦らずクールに対応すれば大丈夫です。
それではいよいよここからスラングのつなぎ言葉を紹介していきたいと思います。
スラング英語のつなぎ言葉5選
以下がアメリカのストリートでよく耳にするスラング英語のつなぎ言葉たちです。
例文ではラッパーたちの言葉と一緒にそれぞれのつなぎ言葉の使い方を見てみましょう。
“youknowhatImsayin”
Kanye West
おっと、いきなり出だしから謎の言葉が出てきてしまいましたね。
でもここで決して慌てないでください。よくよく見るとあることに気が付くはずです。
そうです。実はこれは1つのフレーズの単語を全てくっつけたスラングのつなぎ言葉で、ズバリ、“you know what I’m saying”を短くしたものです。
なぜ“youknowhatImsayin”と全て続けて表記しているかというと、発音が「ゆなぁむせぇーん」という風につながって聞こえるからです。
“You know what I’m saying”というと文字通り「お前はおれの言うことがわかるか」となりますが、実際の会話ではこのフレーズ自体に特に意味はなく、上で見た通常のつなぎ言葉と同じように、
- 時間稼ぎ
- 同意
- 強調
のいずれかの目的で使われます。(上のどの用法で使われているかは基本的に聞き手の感じ方次第です)
“It’s not ‘can’; it’s ‘will’, youknowhatImsayin, You have to will things into fruition”
(「できる」じゃなくて「やる」だ。意志によって物事を現実にしなくちゃいけないんだ)
-Kanye West
また、意味は同じでちょっとだけ単語を入れ替えた“youknowhatImean” (”you know what I mean”の略)というのも同じくらい使われるので一緒に覚えておきましょう。
“For me, money is not my definition of success. Inspiring people is a definition of success, youknowhatImean?”
(おれにとっては金が成功の証じゃない。人を感動させられることがおれにとっての成功の証なんだ)
-Kanye West
ちなみに“youknowhatImean”の発音は「ゆなぁみーん」という感じになります。
“you feel me”
Slick Rick
続いて“you feel me”は文字通り「おれを感じる(共感する)か」という意味ですがこちらも、
- 時間稼ぎ
- 同意
- 強調
のいずれかの目的で使われる代表的なスラングのつなぎ言葉です。
“I wish I could see outta two eyes, you feel me?”
(両方の目で見れたらと思うよ)
-Slick Rick
“see what I’m saying”
Eric B and Rakim
“see”は「見える/わかる」なので“see what I’m saying”文字通り訳すと「おれの言っていることがわかるか」が原形となります。そしてこちらもニュアンスは、
- 時間稼ぎ
- 同意
- 強調
になります。
発音は流れるように一気に、「すぃわらむせぃん」や、もっと早く「すぃぁむせぃん」という感じになります。
“It feels good to have a body of work that, 30 years later, people show up and say, ‘Man, we appreciate you’, see what I’m sayin?”
(30年後に誰かがやってきて、「おれには良さがわかるよ」と言ってもらえるような作品を持つことは気持ちいいことだよ)
-Eric B
また、こちらも同じ意味で少し単語を入れ替えた“see what I mean”というのもあるので、一緒に覚えましょう。
“see what I mean”の発音は「すぃわらみぃん」という感じになります。
“Without no disrespect to any artist, there’s a lot of degrading music out there as far as degrading the culture and degrading society as well, see what I mean? That’s individuals that choose to make that kind of music”
(別に誰がってわけじゃないけど、文化や社会を汚すような音楽が溢れている。そういうタイプの音楽を作ることは個人の選択の問題なんだ)
-Rakim
“ya dig”
Slick Rick
“ya”は“you”「あなた」のことで、“dig”は「穴を掘る」という意味ですが、スラングでは「気に入る」という意味で使われます。
なので“ya dig?”で「気に入った?」=「共感できる?」が直訳の意味ですね。ニュアンスは上の“you feel me”ととてもよく似ています。
そしてくどいようですがこちらも会話での使われ方は、
- 時間稼ぎ
- 同意
- 強調
になるのでこれ自体あってもなくても意味は変わりません。
“ya dig?”の発音は「やでぃー?」という感じです。(”g”はほぼ発音しません)
“I mean, I have my heartaches and stuff, ya dig?”
(なんていうか、おれにも心が痛むみたいな時はあるよ)
-Slick Rick
“you know what I’m talking about”
Young Jeezy and Jay-z
最後の“you know what I’m talking about”も文字通りの意味は「おれの言っていることがわかるか」とこれまでの表現となんら変わりませんね。
ただ“you know what I’m talking about”の発音はとても早く「ゆなぁむとぉんばぁぅっ」とめちゃくちゃ短縮されるので、知らないと絶対に聞き取れないので要注意です。
最後もこれまで通り会話中でのニュアンスは、
- 時間稼ぎ
- 同意
- 強調
なので慣れてしまえば怖くありません。
“I don’t know how to be a rapper, I just know how to be me, you know what I’m talking about?”
(おれはどうやってラッパーになるのかは知らない、おれはただ「おれ」になることしか知らない)
-Young Jeezy
またこちらも同じ意味でちょっと単語を入れ替えた“see what I’m talking about”というのもあるので、レパートリーの1つとして一緒に覚えておきましょう。
ちなみに“see what I’m talking about”の発音は「すぃわらむとぉんばぁぅっ」という感じになります。
“I’m just going to make the music I love to make, and I’m going to mature with my music, see what I’m talking about?”
(おれはただ自分の作りたい音楽を作る、そしてその音楽と共に成熟していくんだ)
-Jay-Z
スラング英語のつなぎ言葉まとめ
以上、アメリカのストリートで実際に使われている「スラングバージョンの英語のつなぎ言葉」5つ(プラスα)を紹介しました。改めて全部まとめてみると、
- “youknowhatImsayin”または“youknowhatImean”
- “you feel me”
- “see what I’m saying”または“see what I mean”
- “you dig”
- “You know what I’m talking about”または“see what I’m talking about”
という具合になります。
どれもお決まりの表現で、黒人やヒップホップのアーティストたちは特に会話やインタビューで多用しますが、これらのフレーズを覚えておけば今後は「え?今なんて言ったの??」となることはなくなるでしょうし、つなぎ言葉が「小休止」になるので聞き取りが今までよりも少しは楽になるはずです。
実は日常英会話でもインタビューでも、難しい言葉はほとんど使われていないんですよね。
ただ、ところどころスラングが散りばめられているのと、スピードが圧倒的に早く発音も聞き慣れないので初めのうちはついていくのが難しいんです。
これを打破するには「とにかく慣れること」しかないんですが、そのうえで理解の助けになるスラングのフレーズを今日は紹介してみました。
また良かったらこちらの記事もきっと役に立つと思うのでチェックしてみてください。
関連記事
【完全版】超マニアックな黒人英語の発音や文法の特徴を超まとめラップ名曲パンチラインの意味に学ぶ英語vol.10「Redman編」【英語の悪口】ウータン・クランのスラングが最低に下品すぎて最高
「受験勉強から社会勉強まで」生きた英語はBigtreeEnglishで
当サイトでは、受験勉強や本気の英会話学習に役立つ知識はもちろんのこと、アメリカのストリートから発信される実用的な表現や誰も知らない超マニアックなスラングなど、かなりの守備範囲の英語コンテンツをカバーしています笑
以下でそれぞれのテーマの記事一覧をチェックできるので良かったら覗いてみてください。
また、以下の記事では日本で生まれ育った僕が15年間の英語学習を経てたどり着いた「最強の独学勉強法」と「正しい発音の身につけ方」をまじめに紹介しています。(どちらもかなり読みごたえあります)
本気で英語力を伸ばしたいと思っている人には必ず役に立つ内容になっているので是非チェックしてみてくださいね。
CHECK!!
ということで最後まで読んでいただきありがとうございました。
それではまた!