英語の子音の発音について詳しく解説しているサイトがあまり無いようなのですが、こちらでやっていただけないでしょうか?
ー30代 草食系ヴィーガン
どうも。@bigtreeです。
英語の母音(vowels)の発音についてはこちらの記事で「音声学」の専門的な知識を使って、誰でもわかるようになるべく噛み砕いて解説しました。
なので今日は、英語の子音(consonants)の発音についてもなるべく堅苦しくないやり方で説明していきたいと思います。
上の記事でも言いましたが、母音の発音というのはあなたが話す英語のバックボーンとなる非常に重要な部分で、正直母音の発音の良し悪しによってあなたの英語がきちんと伝わるかどうかが9割方決まります。
なのでまずは母音の発音をしっかりとマスターすることに重点を置いて頑張って欲しいと思うんですが、じゃあ子音の発音はそんなに重要じゃないかというと、そうではないんですよ。
母音が9割だとしたら子音は残りの1割。
その1割の精度によってあなたの話す英語の印象がガラッと変わります。
この1割の部分をきちんと突き詰めることであなたの発音はネイティブにグッと近づきます。
そういう意味で、子音の発音というのは母音と同じように非常に大切なんです。
そして子音の発音は表面上はとても簡単です。
ほとんどの子音の発音記号(例えば/p/とか/g/とか)の発音の仕方はみなさんもうすでにわかっていますし、あまり見慣れない子音(例えば/ð/とか)もその発音記号と発音の仕方さえきちんと結びつけられれば、あとはどんな単語が来ても基本的には発音記号を見れば発音できるようになります。
・・・表面上は。
ええ、英語の子音の発音記号は全部で24個あるんですが、みなさんそのほとんどを見たことがあると思うし、発音できると思うんですよ。
ただ実際の英会話では、辞書に載っている発音記号通りに発音しないケースが本当にたくさんあり、これが子音の発音の奥が深くて面白いところなんですが、この変態的な子音の発音の世界について詳しく解説している変態は残念ながらなかなか見つかりません。
そういうことです笑
これまた手前味噌で恐縮ですが、私は大学生の時に英語の「音声学」という授業を受講し、そこで英語の発音の基礎を学びました。
そしてそこから独学で研究を続け、英語の母音と子音の発音について、日本人の私たちにとってわかりやすい方法で習得する方法を開発したのです。
なので今回は子音の発音について、時間をかけてじっくりと掘り下げていきたいと思います。
それでは早速一緒に見ていきましょう。
【はじめに】子音とはどういう音か
ではまず初めに、子音という音が母音と比べてどんな音なのかということに軽く触れておきましょう。
子音の発声方法についての正しい理解を持つことは、きれいな発音を身につける上での第一歩となります。
まず上の記事でやった母音ですが、母音は肺から出た空気の流れが口の中を通る際に、
- 口の大小(開閉)
- 舌の位置
- 息の量(短長)
をコントロールすることによって、17個(短母音7個、長母音5個、二重母音5個)の異なった音を出します。
この時空気の流れは遮られることなく、あくまでも口の開き具合、舌の前後や空気のボリュームによって音が微妙に変わるんでしたね。
一方で子音はどうかと言うと、子音の音を出す際には上記の項目に加えて、
- 上下の唇
- 上下の歯
- 口内の天井(口蓋)
- 歯茎
- 咽頭
などの「器官」と呼ばれる体のパーツを使って音を出していきます。
そしてこの時にそれぞれの器官同士を
- 軽く/しっかりくっつけて空気の流れを止めたり
- ギリギリ空気が通るくらいまで近づけたり
- 空気の流れを一旦遮ってからちょっと緩めたり
- 喉への入り口を閉ざして空気を鼻に通したり
- 舌でブロックして空気を口の横側から出したり
- 器官同士を近づけて空気の流れを制限したり
という6つの異なる方法(調音法という)を使い分けることによって全く異なる24個の音を出す、というのが特徴になります。
なので最初のパートでは、24個の子音をこの6つの調音法ごとに分類してサクッと確認していきたいと思います。
そして後半のパートでは、冒頭で言った「辞書では確認できない子音の複雑な発音」についても解説していきたいと思います。
6つの調音法でみる子音まとめ
それでは早速子音24個をその音の出し方ごとにまとめて見ていきましょう。
1. 破裂音(はれつおん)
最初の子音は破裂音(plosive)という調音法で発声される子音です。
破裂音は上で言った唇、歯、舌などのそれぞれの器官同士を軽く押し合わせて(強調する場合にはしっかりと押し合わせて)一度肺からの空気の流れを完全に止め、それを一瞬で素早くリリースすることによって作り出す短い音です。
器官同士を押し合わせてしっかりと空気の流れを止め、そこから一気にリリース(破裂)する
英語には/p/, /t/, /k/, /b/, /d/, /g/の6つの破裂音の子音があります。
どれも一度空気の流れをシャットアウトしていることを自分で発音して確認してみてください。
例えば/p/なら上下の唇を押し当てて一旦空気を遮断し、そこから力を緩めて一気に空気を逃して「プッ」という音を出していますね。
この破裂音の子音が使われている単語は以下のようなものがあります。
破裂音の子音の発音はどれもアルファベットのまんまなので全く難しいことはありませんが、声に出して実際に練習してみてください。
<例>
/p/: post /poʊst/「ポスト」
/t/: ticket /tɪkɪt/「チケット」
/k/: cut /kʌt/「切る」
/b/: book /bʊk/「本」
/d/: dead /ded/「死んだ」
/g/: get /ɡet/「ゲットする」
2. 摩擦音(まさつおん)
そうしたら次は摩擦音(fricative)という調音法の子音を見ていきましょう。
摩擦音はその「摩擦」という言葉が示す通り、器官同士を空気がやっと通れるくらいのギリギリまで近づけることで出される擦れた音です。
1つ前の破裂音は一度完全に空気を遮断しますが、摩擦音は空気の流れを完全に止めることはなく、微量の音漏れによってその音を出します。
器官同士を優しく押し当てつつも空気は若干逃す
英語には/f/, /v/, /θ/, /ð/, /s/, /z/, /ʃ/, /ʒ/, /h/の9つの摩擦音の子音があるんですが、そのほとんどの発音方法は例で挙げている単語を見れば感覚的にわかると思います。
一応それぞれの発音の仕方について、どこの器官を使ってどのように発声するか示しておきますね。
<例>
/f/: foot /fʊt/「足」
*下唇を上の歯に軽〜く押し当てて”ffffffff…”
/v/: vote /voʊt/「投票する」
*同じく下唇を上の歯に軽〜く押し当てて、声帯を振動させて”vvvvvvvv…”
/θ/: tooth /tuːθ/「歯」
*舌先を上の歯に軽〜く押し当てて”θθθθθθθθ…”
/ð/: they /ðeɪ/「彼らは」
*同じく舌先を上の歯に軽〜く押し当てて、声帯を振動させて”ðððððððð…”
/s/: sister /sɪstɚ/「姉妹」
*舌先を上の歯の裏側の歯茎に軽〜く押し当てて”ssssssss…”
/z/: rose /roʊz/「バラ」
*同じく舌先を上の歯の裏側の歯茎に軽〜く押し当てて、声帯を振動させて”zzzzzzzz…”
/ʃ/: shoot /ʃuːt/「(銃などを)撃つ」
*舌を口の天井(口蓋)にギリギリまで近づけて”ʃʃʃʃʃʃʃʃ…”
/ʒ/: measure /meʒɝː/「測定する」
*同じく舌を口の天井(口蓋)にギリギリまで近づけて、声帯を振動させて”ʒʒʒʒʒʒʒʒ…”
/h/: hot /hɑt/「暑い」
*声門(喉仏のちょっと下のあたり)を少し収縮させて”hhhhhhhh…”
3. 破擦音(はさつおん)
はい、お次の子音は破擦音(affricate)と呼ばれるものです。
破擦音はその漢字からも推測できるかもしれませんが、「破裂音」と「摩擦音」が合体した音になります。
実際どのように合体するのかと言うと、破裂音のように一旦空気の流れを止めるんですが、そこから若干力を緩め、摩擦音のようにギリギリ空気が抜ける擦れた音を出します。
一旦せき止めた空気を滲み出るくらい僅かにリリースする
英語では/tʃ/, /dʒ/の2つの破擦音の子音があります。
<例>
/tʃ/: church /tʃɝːtʃ/「教会」
*舌の前の方を上の歯の裏側の歯茎に押し当て空気の流れを遮断し、そこから力を緩めて空気を僅かにリリースさせて、”tʃtʃtʃtʃtʃtʃtʃtʃ…”
/dʒ/: judge /dʒʌdʒ/「ジャッジ」
*舌の前の方を上の歯の裏側の歯茎に押し当て空気の流れを遮断し、そこから力を緩めて空気を僅かにリリースさせ、声帯を振動させて”dʒdʒdʒdʒdʒdʒdʒdʒ…”
ここで1つ注意しておきたいのは、一個前に見た摩擦音の/ʒ/と、この破擦音の/dʒ/はとてもよく似ていて、「何が違うの?」と思う人もいると思いますがその違いは明確で、
● /ʒ/はあくまでも摩擦音なので、音の初めから終わりまで空気が若干漏れた音になる。
● 一方で破擦音の/dʒ/は、最初一旦空気を遮断(破裂音の/d/を出す感じ)した後に少し緩めて/ʒ/の音を出す。
という違いがあるのできちんと理解しておきましょう。
4. 鼻音(びおん)
そしてお次は鼻音(nasal)と呼ばれる子音になります。
鼻音は読んで字のごとく、鼻を使って発声する音です。
この鼻音を発声する際、口の奥の方にある”velum”(軟口蓋)と呼ばれる器官が下にさがり、口への空気の流れを遮断して鼻側に空気を流すことでこの音を出していますが、これは意識してやっているわけではなく誰もが自然にできていることだと思うので特に注意は要りません。
鼻音の調音法の子音は、/m/, /n/, /ŋ/の3つがあります。
/ŋ/はわかりやすく言うと”English”(イングリッシュ)の「んが」の部分の音です。
<例>
/m/: memo /memoʊ/「メモ」
*上下の唇をくっつけて、鼻に空気を通して”mmmmmmmm…”
/n/: noon /nuːn/「正午」
*舌の前の部分を上の歯の裏側の歯茎に押し当て、鼻に空気を通して”nnnnnnnn…”
/ŋ/: hang /hæŋ/「吊るす」
*velumを下げて鼻側に空気を通した後、素早くvelumを開放して口側に空気を通して”ŋŋŋŋŋŋŋŋ”
ちなみによくネイティブに「M(エム)、N(エヌ)どっち?」みたいに聞かれることがあると思いますが、そうならないためには、
● /m/は上下の唇をくっつけて(口を閉じて)「エム」
● /n/は舌を上の歯の裏側の歯茎にくっつけて(「い」と言う時のように歯を見せて)「エン」
と言うとクリアな発音になります。
5. 側音(そくおん)
次は側音(lateral)と呼ばれる調音法の母音です。
側(わき・かたわら)という漢字が示す通り、側音は舌で口の中心を塞ぐことにより、空気の流れが舌の両側を抜けて出る音のことですが、英語には1つだけしかこの側音の子音がありません。
/l/という子音がそれですが、これは舌の先を上の歯の裏側の歯茎(Alveolar Ridgeという)にくっつけることで空気が口の真ん中を通れないようにしています。
<例>
/l/: luck /lʌk/「運」
6. 接近音(せっきんおん)
はい、そして最後は接近音(approximant)という調音法で出す子音になります。
この接近音はちょっと微妙な子音で、器官同士をある程度近づけますが、摩擦音ほどは近づけない感じで発声します。
実際、発声する際には「肺からの空気の流れがほとんど妨害されない」ので、母音に近い音とも言えますが、一応正式には子音の扱いになっていて、英語では/w/, /r/, /j/の3つの接近音の子音があります。
<例>
/w/: white /waɪt/「白」
*上下の唇を微妙に近づけて”wwwwwwww…”
/r/: robot /roʊbɑt/「ロボット」
*舌を口の天井や横の壁に当たらないように巻き上げて”rrrrrrrr…”
/j/: yes /jes/「はい」
*舌を口の天井に微妙に近づけて”jjjjjjjj…”
/j/はアルファベットから「じゅ、じゅ」という「Jの音」を連想してしまいがちだけど間違えないように
調音法ごとの子音一旦まとめ
それではここで今までの内容を一旦まとめてみましょう。
以下で6つの調音法ごとの英語の子音24個をリストアップしたので今一度確認してみてください。
- 破裂音:/p/, /t/, /k/, /b/, /d/, /g/
- 摩擦音:/f/, /v/, /θ/, /ð/, /s/, /z/, /ʃ/, /ʒ/, /h/
- 破擦音:/tʃ/, /dʒ/
- 鼻音:/m/, /n/, /ŋ/
- 側音:/l/
- 接近音:/w/, /r/, /j/
こうやってみてみると破裂音と摩擦音が圧倒的に多いですが、これらの音を上で説明してきたように適切な器官を使って正確に発音できれば子音の発音は、まあひとまずは合格です。
はい、冒頭で言ったように、実は子音には辞書には載っていない発音の仕方がものすごくたくさんあって、それこそが本当の意味での子音の発音マスターへの試練となります。
なので次のパートからはその「子音のイレギュラー発音」についてできる限り解説していきたいと思います。
ワンランク上の子音の世界
はい。ということで子音のネザーワールドへようこそ・・・。(吹き荒れる砂嵐)
ここからはいよいよ子音の発音の一番複雑で説明しづらい部分を徹底的に解説して行きたいと思います。
ここからの内容は専門性がかなり高く、普通学校では習うことのない知識ですが、これを理解して自分のものにできるのとできないのではあなたの英語の発音に「ウニ」と「醤油プリン」くらいの大きな差が出てきます。
せっかく完璧な母音の発音をマスターしたんだったら子音の発音も限りなくネイティブに近づけたいじゃないですか。(母音の発音の完全解説はコチラ↓)
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でも残念ながらこの子音の発音の細かい分類についてやさしい言葉でわかりやすく説明している教材は多くはありません。
なので、ここでは私がこれまでの勉強で培ってきた子音の発音に関する知識を全てお見せしたいと思います。
普通の子音と何が違うのか
上で紹介した24個の子音の発音は全てノーマルな発音です。
「通常はこの発音になります」という感じですね。
ですが、中には「〜の条件の場合にはこんな発音になります」というアブノーマルな発音を持った子音がいくつか存在します。
あぁはい、そうですか。
ただ上で見てきた24個の子音全てがそうではありません。
このアブノーマルな発音を持った子音は決まっていて、大雑把に言うと
- /t/
- /r/
- /l/
がそれにあたります。(厳密にはそれだけではないのですが、それはまた少し後で説明します)
しかも、これらの子音のアブノーマルな発音は必ずしも1つの子音に対して1つではありません。
例えば/t/に関して言えば、前半で紹介したノーマルな発音に加えてアブノーマルな発音がなんと5つもあります。
つまり/t/という1つの子音は、場合によって6通りの異なる発音の仕方をするということですね。
ええ、その他にも/r/は2個、/l/は1個のアブノーマルな発音があります。
なのでその全ての発音の仕方とその発音が発動する条件を覚えなくてはいけないんですね。
はい、正直説明しづらいし面倒くさいです。
そしてそれこそがこのトピックについての良いまとめがあまり見つからない理由でもあります。
でもネイティブの発音をマスターするにはここは必須な知識なので頑張って一緒にやっていきましょう。
アブノーマルな子音の解説(子音の異音)
1つの子音に対するそれぞれの違う音のことを、異なる音と書いて専門用語で「異音」(allophones)と言います。
そしてこの異音を一つずつ字面で解説するのは実は教える方も学ぶ方もめちゃくちゃ大変なんです。
なのでこの「子音の異音の発音」についてはこちらの動画でわかりやすくまとめてみました。
こちらで異音それぞれの発音の仕方と異音が発生する条件についても丁寧に解説しています。
また上で言った「/t/, /r/, /l/だけではない」という部分についても説明しているので、この一本で子音の実践的な発音の知識を全てカバーできると思います。
なのでこの動画を繰り返し見ながら声に出して練習し、子音の発音の精度を上げていきましょう。
子音の発音まとめ
ということで、今回はあなたの発音の「完成度」を左右する英語の子音の発音について、僕の持てる全ての知識を使ってわかりやすくまとめてきました。
しっかりと自分のものにするためには体に染み込むくらいまでの繰り返しの練習が必要なので根気強く頑張っていきましょう。
また別の回で取り上げた英語の母音の発音の復習、そして興味のある人は僕自身がこれまでやってきた、僕の英語力のベースを作り上げたおすすめの勉強方法についての記事も是非チェックしてみてくださいね。
CHECK!!
ということで最後まで読んでいただきありがとうございました。
それではまた!