Youtubeもこっから見てってくれよな!

【発音解説】君はこのアメリカ南部の黒人英語を聞き取れるか

どうも。@bigtreeです。

(僕が誰にも知られず密かにペラペラになった独学勉強法はこちら↓チラッ)

【動画で晒す】通訳の僕の英語力と5つの独学勉強法

先日ダラダラとYoutubeを眺めていたら「おぉ・・これは・・・」という動画を見つけてしまったんですよ。

たまにありますよね、無修正で「これ絶対削除されるだろ」ってやつ

ああ・・え、無修正?・・・いや多分全然違うタイプの動画のことを思い浮かべてると思うんですが、僕が言ってるのは英語の発音に関しての動画です。

え・・あぁ、も、もちろんですよ!”修正されてない発音”ってことです!

ええ、まあちょっとよくわかんないですが、僕が見つけたのは、とあるアメリカ南部の黒人さんが喋っている動画で、その訛りがあまりにも強烈すぎて思わず「わーお」ってなっちゃったんですよね。

みなさんが普段勉強しているリスニングの教材とか英語ニュースとかでは絶対に聞くことのないあの独特なコッテコテの南部訛り。

おそらく多くの人は聞き取るのが難しいんじゃないかと思ったので、今日は試しにどれくらい聞き取れるかチャレンジをしてみたいと思います。

なるほど、望むところです!

アメリカ南部の英語って?

ところでそもそも「アメリカ南部の英語」って何なんでしょうね?

アメリカ南部ってその他の地域と同じ様に英語が話されているんじゃないんですか?

そう思った人もいるかもしれません。

それはその通り。アメリカ南部でもその他の全米地域と同じくもちろん英語が標準語として話されています。

ただ、アメリカ南部の英語はその発音にクセがあるのが大きな特徴なんですね。

ここで「何それ変なのー」と思った人、ちょっと日本に目を向けて考えてみてください。

日本では、もちろん私たちはみな共通語である日本語を話しますが、その中でも地域によって様々な方言があったりしますよね。

例えば東北地方の「ズーズー弁」や沖縄の「うちなーぐち」などは聞きなれない人からすると「異言語レベルで理解できない」ということもあったりします。

こんな狭い日本でそんな状況なら、日本の何倍も国土が大きく、さまざまな人種が入り乱れているアメリカならその言語の多様性も比べ物にならないのは想像に難くないはずです。

たしかにそうですね

その中でもこの「アメリカ南部」というのは発音の訛りが色濃く出ていて、一般的には

  • Southern twang
  • drawl

などと呼ばれ、その特徴を持つ人は一発で「お前南部出身だろ!」と言われるくらいインパクトがあります。

もちろん人によってそのレベルはさまざまですが、個人的には南部の「老人」と「黒人」の訛りは相当集中していないと聴き逃してしまうくらい「キツい」です笑

そこで今日は僕がたまたま見かけた南部出身の黒人男性の英語を聞いてもらって、どこまで聞き取れるかあなたのリスニング力を試してもらいたいと思います。

アメリカ南部の黒人英語

はい、ということで早速こちらを見てみてください(低画質ですみません)

 

・・・どうですか、聞き取れましたか?

これを一撃で聞き取れたとしたらあなたは相当のセンスがあります。

アメリカ南部があなたを呼んでいます。今すぐ渡航計画を立てましょう笑

それ以外のみなさん、安心してください。聞き取れなくて当たり前です。

この男性は相当喋りのクセが強くて、訛りレベルで言うと7/10くらいでしょうか(ええ、実はまだまだ上には上がいるんですよ)

僕の感覚で言うとCNNなどの英語のニュース番組で訛りレベル0~1/10、TOEICのリスニングの非アメリカンスピーカーの部分でさえ2~3/10くらいなので、この人の英語がどれだけ聞き取りづらいかお分かりになるでしょう。

なので聞き取れなかったからといって決して落胆しないでください。

では次にもう一度、今度はもう少し状況を踏まえた上で聞いてみましょう。

<動画の状況>

 

撮影者(女性)が男性に「職場の上司たちが亡くなったビリーという男の代わりにあなたをマネージャーに昇進させる話をしているのを盗み聞きした」と伝えています

そもそも設定のクセが強いです

それを踏まえた上でもう一度聞いてみてください。

 

はい・・・どうでしたか?

全然聞き取れなかったんじゃないですか?

ええ、なんか聞き取れなすぎてイライラしてきました

落ち着いてください。ほとんどの人はほぼ聞き取れていないと思います。

ではここからはこの人の発音を一つひとつ解剖して、なんで聞き取りづらいのか見ていくことにしましょう。

発音解説

まずは登場人物の会話を洗い出していきます。

W(女性): I was eavesdropping right, I heard, they said they’re gonna turn you into a manager(ちょっと盗み聞きしたんだけど、彼らがあなたをマネージャーにするって言ってたよ)

 

M(男性): Get on out my damn face. I don’t need to be here all the time to be a damn manager(あっち行けよ。マネージャーなんてなりたくもねえよ)

 

W: You know Billy died last night(ビリーが昨夜亡くなったの知ってるでしょ)

 

M: Who?(誰がって?)

 

W: Billy!(ビリーよ!)

 

M: I know damn well Billy ain’t die last night. I just damn talked to damn Billy(ビリーが昨日死ぬわけねえだろ。本人と話したばっかりだよ)

 

W: Shhhhh! Didn’t I tell you to be quiet(シーー!静かにしてって言ったでしょ)

 

M: I know damn well Bi…How (did) he die?(ビリーが死ぬわけ・・・どうやって死んだって?)

 

W: I don’t know, they said he had a heart attack or something, I don’t know. But you know what(わかんない。なんか心臓発作とかかもって言ってたけどわかんない。けどさ、)

 

M: I just talked to Billy. I just talked…I gave him a damn ride home yesterday(話したばっかりだぞ。話したばっかり・・・ていうか昨日家まで送ったんだよ)

 

W: It might be dope, I’mma be honest I dunno…(クスリかも。正直・・ちょっとわかんないけど)

 

M: Billy was on the dope?(ビリーがクスリやってたってのかよ?)

 

W: Everybody knows that(みんな知ってるわよ)

 

M: Hou (do) you know everybody’s damn business?(なんでお前そんなみんなの情報知ってんだよ?)

 

W: Look, I just overheard it, don’t go around blaming your mom but they said they’re gonna turn you into a manager, that’s what I heard(いい、私はただ聞いただけだから。でもとにかく上司たちがあなたをマネージャーに昇進させようかって話してたのを聞いたのよ)

 

M: Real talk…like, look, fo’ real, stop playing…They said they’re gonna give me Billy…Billy’s spot?(ガチで・・・いや、マジで冗談抜きでさ、おれをビリーの・・・ビリーのポジションにって?)

 

W: They said they’re gonna get you Billy spot(あんたをビリーのポジションにって言ってたわよ)

 

M: I hate he died but hey, it’s a good thing. It’s a damn good thing!(彼が死んだのは気の毒だけど、でも良かった。うん、てか最高じゃん!)

と、流れは大体こんな感じになります。

切り替え速すぎワロタ

女性の英語も多少聞き取りづらいところはありますが、やはり問題なのは男性の方ですね。

何が一番の問題かと言えば、この男性は単語の終わりの音を全然発音していないんですよ。

これは黒人英語の特徴の一つでもあるんですが、「単語の最後の音が子音の音で終わっている場合、その音が発音されずに終わる」という現象が頻繁に起こっています。

例えば上のダイアログで見ると、face, last, night, just, talked, ride, home, dope, business, talk, spot, hate, thingなどがそれで、よくよく聞いてみるとそれぞれ、

  • フェイ(face /feɪs/)
  • レァ(last /læst/)
  • ナイ(night /nɑɪt/)
  • ジャッ(just /dʒʌst/)
  • タァ(talked /tɑːkt/)
  • ラァ(ride /raɪd/)
  • ホゥ(home /hoʊm/)
  • ドウ(dope /doʊp/)
  • ビンネッ(business /bɪznɪs/)
  • タァ(talk /tɑːk/)
  • スパァ(spot /spɑt/)
  • ヘイ(hate /heɪt/)
  • テァイン(thing /θɪŋ/)

みたいな発音になっているんですよ(”//”で囲われた部分が本来の発音記号)

businessが「ビンネッ」って正気の沙汰じゃないな・・・

この現象は発音のリダクションと言って、英語の発音全般で一般的に見られる現象ですが、黒人英語、そしてさらに言うと「南部の黒人英語」ではそれがものすごく色濃く現れます。

それぞれの発音記号(”//“で囲われている部分)を確認してみると確かにみんな子音の発音記号で終わっているのがわかりますね。

(子音と母音の発音記号について、どれがどれだかわからない人はこちらの記事をどうぞ)

関連記事

【完全版】ネイティブの子音の発音の極め方日本人の僕が完璧な英語母音の発音習得方法を教えます 

この短い会話の中でこれだけの単語が「ろくに発音されてない」んです。

そしてそこに、冒頭で触れた”drawl”という南部英語の特徴であるダラァ〜っとした単語の切れ目が分かりにくい喋り方が加わっているので、そりゃ聞き取れないに決まってますよね。

なるほどそういうことだったんですね。いやまじで無理です

はい、というわけで内容がわかったところで最後にもう一度だけ見てみましょうか。

 

うん、ホントに何度聞いても意味不明ですよね笑

でもこの「黒人英語の発音」というのは本当に奥が深くて、いわゆる標準英語の発音の常識では説明できない現象が数多くあって、それだけで論文が書けそうなくらいです。

以下の記事でその一部をまとめているので、もし興味がある人は覗いてみてください。

関連記事

【完全版】超マニアックな黒人英語の発音や文法の特徴を超まとめ 

ということで、今回はアメリカ南部の黒人英語の発音解説でした。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

それではまた!